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症例24 [唾液腺腫瘍]

唾液腺腫瘍の病理診断コーナーです.

症例は40歳代男性の口腔底腫瘍です.あなたの診断は?

 

図1

 

図2

 

図3

 

図4

 

図5

 

 

図6

 

 

図7

 

 

図8

 

図9

 

図10

 

図11

 

図12

 

図13(PAS-Alcian blue)

 

図14(Diastase PAS-Alcian blue)

 

図15(Elastica Masson trichrome)

 

 

診断:粘表皮癌(Mucoepidermoid carcinoma)

コメント:弱拡大で見ると,舌下腺に接し,その一部に浸潤する腫瘍です(図1).明細胞の充実性胞巣形成が目立ち(図2,3),明らかな管状構造(図4,5)もところどころに認められます.明細胞はグリコーゲンを豊富に含んでいます(図13).周囲に豊富な膠原線維性の間質を伴って,明細胞が索状配列を示すところもあります(図6,7).また,好酸性細胞質をもつ細胞からなる部分もあり(図8),少数ですが細胞質内粘液を有する細胞(図9,10,14)や細胞間橋の明瞭な扁平上皮への分化を示す細胞(図11)も確認されます.図4,5では,外層の明細胞と内層の管腔形成細胞があり,一見上皮筋上皮癌との類似性も認められますが,外層の明細胞は細胞境界が明瞭で敷石状に配列しており,筋上皮性細胞とは異なります.したがって,HE染色でも筋上皮細胞の関与しない腫瘍と判断され,粘表皮癌と診断されます.細胞異型は強くありませんが,明らかな神経侵襲像(図12)や静脈侵襲像(図15)が認められます.明細胞化は粘表皮癌でしばしば見られる所見です.明細胞化の顕著な腫瘍を見たときの診断のポイントは,まず筋上皮細胞の関与の有無を検討し,筋上皮細胞への関与がないと判断されれば,粘液細胞(杯細胞)や扁平上皮細胞(類表皮細胞)への分化を探してみることです.

なお,ここには示しませんが,免疫染色でも,腫瘍細胞は,ASMA (-), calponin (-), S-100 (-), EMA (+), CK5/6 (+), p63 (+)であり,粘表皮癌に一致するものでした. 

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関連サイト:http://www001.upp.so-net.ne.jp/moririn/index.html

 


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